「相続のことをよく聞かれますが、父の財産はほとんど残っていなかったんです。恥ずかしい話ですが、介護保険のことを知らなくて…」
こう振り返るのは、俳優の高嶋政宏(53才)。6月26日に父の高島忠夫さん(享年88)が老衰で亡くなってからおよそ1か月半が経ち、政宏は父親の生前整理や相続の実情を赤裸々に語った。
右手の親指を突き立てる「イエーイ」のポーズでおなじみの忠夫さんは、俳優やテレビ司会者などとして活躍した。妻の寿美花代(87才)、息子の政宏、政伸(52才)兄弟とともに「高島ファミリー」としてたびたびメディアに登場し、芸能界きっての仲よし家族と称された。
だが忠夫さんは1998年に重いうつ病を患い、一時的に回復したものの、パーキンソン病を発病して、長年にわたる介護が必要となった。“高嶋兄弟”の兄、政宏が当時を振り返る。
「家計のことはすべて父が管理していたので、父が倒れた時は何もわからず、家族でパニックになったことをよく覚えています。母は印鑑を押したことすらなく、実印がどこにあるかも把握していませんでした」
一家の大黒柱が突然倒れて、家族が途方に暮れるケースはよくある。その後の治療や介護生活にどれだけお金がかかるかわからず、不安になることも多い。
そんな時に支えになるのが、必要度に応じてさまざまな介護サービスを低負担で受けられる「介護保険制度」だ。2000年4月にスタートし、超高齢化のなかで介護が必要になった人を社会全体で支える仕組みだが、高島ファミリーは長きにわたり、その存在を知らなかったという。