根本匠・厚労相は年金財政検証の発表会見で“100年安心”を強調した。真っ赤な嘘である。財政検証に並んだ「所得代替率」や「マクロ経済スライド」など小難しい専門用語に騙されないよう、その「嘘」を暴いていこう。
財政検証は5年に1度、100年先までの年金財政の収支を試算して現在の年金制度が維持できるかを検証するものだ。財政検証には、厚労省がこれから進めたいと考えている年金制度改悪の内容が先回りして盛り込まれる。「オプション試算」と題されたパートがそれにあたる。
今回は“保険料取りまくり作戦”だ。そこに嘘が使われていた。
厚労省はパート妻を主な標的に厚生年金への加入義務を強化しているが、宣伝文句は「将来受け取る年金が増えますよ」だ。
サラリーマンの夫の扶養家族になっている妻(第3号被保険者)は、一定のパート収入があっても保険料負担なしで65歳から国民年金が受給できる。それだと1円も保険料が入らないので、なんとか厚生年金に加入させようとの魂胆がある。
現行の仕組みでは、パートやアルバイトは「週20時間以上勤務」「月収8万8000円以上」「雇用契約期間1年以上」の3条件を満たすと厚生年金に加入しなければならない。ただし、社員501人以上の大企業で働く人が対象だ。
厚労省はこの厚生年金加入義務をさらに3段階で拡大しようとしている。