今年6月、“年金だけでは老後資金は2000万円不足する”という金融庁の報告書が明らかになり、一気に年金不安が広がった。そんな不安に立ち向かうためには、自らなんとか年金を増やすしかない。そのために使える制度はしっかり活用しよう。
妻が年下の場合は、「加給年金」という制度を活用したい。「年金博士」として知られる、ブレインコンサルティングオフィスの北村庄吾さん(社会保険労務士)が話す。
「年上の夫が65才になった時、夫より年下の妻がいれば、年間22万4500円が夫の年金に上乗せされます。これに加え、妻に対し年間16万5600円の『特別加算』もプラスされるため、合計約40万円も年金が増えます」(北村さん・以下同)
さらに、高校を卒業していない子供がいると、1人につき年間22万4500円(3人目以降は1人につき7万4800円)が加算される。
「加給年金は、会社でいう“家族手当”や“扶養手当”のようなもの。妻が65才になるまでもらえます。男女が逆でも同じで、年下の配偶者には有利な制度です。ただし、厚生年金に20年以上加入していることが条件です」
妻が年上の場合「振替加算」という制度が使える。妻が65才になると、生年月日など一定の条件を満たせば、妻が生涯受け取れるようになる。
振替加算は、妻が高齢なほど金額が高くなる。たとえば、1953年4月2日~54年4月1日生まれなら月額5233円が年金に上乗せされ、若い世代になるにつれ段階的に減額される。また、振替加算は妻に直接支払われるため、離婚しても生涯受け取れるメリットもある。