現役時代には「万が一のために」と計上していた生命保険の保険料。だが、子供も自立した50~60代の世帯では見直したほうがいいという。ファイナンシャルプランナーの鴇巣(とうのす)雅一氏が指摘する。
「20年ほど前に生命保険各社の主力商品だった『定期付終身保険』は加入者の期待と内容にズレが生じることがある設計でもあった。加入者の現状にそぐわない場合は見直しを検討してもらっています」
「定期付終身保険」とは、その名の通り貯蓄型の終身保険に掛け捨ての定期保険特約を組み合わせた保険商品だ。よくある商品の一例でいうと、死亡保障5000万円のうち、保障が一生涯続く終身(貯蓄型)の部分が200万円、65歳など一定の年齢までに亡くなった場合に受け取れる定期(掛け捨て)の部分が4800万円といった内訳になっていて、これに医療特約などが加わる。
「特徴として、数年ごとに保険料が段階的に上がります。たとえば45歳で加入したときが月額3万円だとしても55歳の更新で月額6万円近くになるケースだと、多くの人が払い込み満了時に設定している65歳までの20年間で約1080万円もの保険料を支払うことになります。
仮に65歳までに亡くなれば、5000万円の死亡保障を受けられるので保険料を払う価値があったという話になりますが、65歳以降の死亡保障は200万円の終身保険の部分だけになる。65歳で解約しても、払い戻しは終身部分の200万円だけです」(鴇巣氏)
子供が独立して妻と2人暮らしなら、手厚い死亡保障は不要だ。そこで65歳を待たずに解約・見直しをすることで、保険料の出費を圧縮するという考え方をしてみる。
「たとえば60歳で定年・再就職したことを機に、200万円の終身保険を残しつつ定期特約を再検討することで月々の支払いを1万円ほどに圧縮することが可能です。心配なら病気や手術については別途、1万円前後の医療保険やがん保険に加入して補います」(鴇巣氏)
これで月4万~5万円、5年間で300万円も保険料を抑えられる。
※週刊ポスト2019年10月4日号