遺産相続にあたり、遺言書が存在しない場合は、親の死後に遺産分割協議で揉めるなどのトラブルになりやすい。遺言書には、本人が書く「自筆証書遺言」と、公証役場の公証人が書く「公正証書遺言」がある。
公正証書遺言は費用が5万円程度から、信託銀行を利用した場合などは100万円以上かかるため、自筆証書遺言のほうが手軽に作成できる。ただし、すべてを自力でやるとリスクが大きい。
「本文は法律に沿って自筆で書く必要があり、日付、署名、押印のひとつでも欠けると遺言書として認められません。内容も“誰に”“何を”渡すかを具体的に細かく記さないとトラブルのもとです。
被相続人の想いを確実に伝えるために、遺言の内容をプロに確認してもらうといいでしょう」(司法書士の山口和仁氏)
遺言書の文案作成は司法書士のほか、弁護士や行政書士が請け負う。費用はまちまちだが、司法書士で7万~15万円が目安となる。
親の全財産を記した財産目録もスムーズな相続には不可欠だ。今年1月からワープロやパソコンでの作成が認められて手軽になったものの、全財産を適正に把握するのは簡単ではない。円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏がいう。
「財産目録には、預貯金や有価証券のほか、クレジットの借り入れなど“負の遺産”も漏れなく記入しなければなりません」