住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「江ノ島」(神奈川県藤沢市)について、ライターの金子則男氏が解説する。
* * *
江ノ島と言えば東京近郊有数の観光地。住む街というイメージは薄いかもしれませんが、SUUMOの「住みたい街ランキング」ではBEST100入りしています。デートスポットとしても有名ですが、カップルがこぞって目指す街の住心地はいかがでしょうか。
鉄道は、少しずつ離れた場所に小田急江ノ島線の片瀬江ノ島駅、湘南モノレールの湘南江の島駅、江ノ島電鉄の江ノ島駅の3線3駅があります。都心に向かうには小田急で藤沢に出るか、湘南モノレールで大船に出るのがオーソドックスな方法。観光路線として江ノ島電鉄、通称「江ノ電」ばかりに注目が集まりがちですが、景色が目まぐるしく変わり、一部で「湘南ジェットコースター」と呼ばれる湘南モノレールも一乗の価値ありです。
ただ、道路状況はよくありません。観光地だけに車が多いのは当然のこと。絶好のドライブコースなので、週末、GW、海水浴シーズンなど、常に渋滞しています。これといった抜け道もなく、高速道路からも非常に遠く、道幅も概して狭い。イライラするような条件が揃っています。かつては暴走族が夜な夜な爆音を轟かせて海沿いの国道を走行し、住民に迷惑を掛けていました。
日常の買い物には不自由しない閑静な住宅街
もはや言わずもがなですが、江ノ島の最大の魅力は海です。夏になれば海岸には海の家が立ち並び、砂浜は遠来からの海水浴客で埋め尽くされますが、地元に住めば好きな時に好きなだけ海と戯れ放題。サーフポイントもすぐ近くにあり、多くのサーファーが波乗りを楽しんでいます。