カナダドルは、政策金利が1.75%と主要国通貨の中でも比較的高い金利を誇る(2019年10月時点)。その金利の高さに注目して取引するFX(外国為替証拠金取引)トレーダーもいるが、カナダドルの値動きにはどのような特徴があるのだろうか。FXなどのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんがカナダドルの特性について解説する。
* * *
カナダドルは資源国通貨のひとつで、特徴として原油価格(WTI原油先物)と連動しやすいことが挙げられます。例えば原油価格は夏になると需要が増える傾向にあり、価格が底堅くなる、もしくは上昇しやすくなり、カナダドルも似たような推移をすることがあります。
カナダの原油埋蔵量は世界第3位で、生産量も世界トップレベルを誇ります。他にも天然ガスが大きな収益源となっており、資源が豊富に取れる国なので、カナダドルはコモディティ価格の影響を受けやすい通貨と言えます。現在の原油価格は、急激な需要の高まりを見せるようなこともなく、OPEC(石油輸出国機構)の減産合意などもあったことから、比較的安定した価格推移をしているため、カナダドルに大きなインパクトを与える状況にはないと考えています。
資源国通貨は世界経済の資源需要の動きに加え、他国の経済情勢にも左右されます。今年再燃した米中貿易摩擦や米国がNAFTA(北米自由貿易協定)の協定内容の見直しを図っていることなどは、カナダドルにあまりポジティブな影響を与えないでしょう。
カナダは隣国のアメリカと密接な関係にあり、輸出先として全体の70%以上、輸入もアメリカからが約5割を占めています。アメリカもカナダは上位貿易相手国でありながら、カナダがアメリカに与える影響よりも、アメリカがカナダに与える影響の方が大きいことは想像に難くないでしょう。
カナダのGDP(国内総生産)は、小売業やサービス業などの第3次産業が70%を占めているということも注意すべき点です。資源国として原油価格との連動性があるものの、国の経済は小売業やサービス業が支えており、原油価格の騰落だけではなく、アメリカ経済の状況もカナダドルの価格に反応します。カナダの小売売上高など消費に関する経済指標で、価格が大きく動くともしばしばです。
カナダドルをトレードする際は、原油価格に限らず、経済状況にも目を向けるように意識しましょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)