「ビジネス用語」や「業界用語」とは異なり、ほぼその会社のみでしか通用しない「社内用語」や「社内スラング」。組織の意思統一やコミュニケーションを円滑にする利点がある一方、社外の会話ではまったく理解されないケースがほとんど。各業界で働く会社員たちに、自分の職場でしか使われない、変わった社内用語を聞いてみた。
大手通信会社の営業部門に所属する30代の男性・Aさん。入社後、聞き慣れない謎の言葉「ぞす」を耳にするようになった。
「先輩社員が、挨拶や謝罪、お礼の言葉も、全て『ぞす』一言で済ませていました。『ありがとうございます』『おはようございます』の『~ございます』が略されて、誕生した言葉。次第に『ぞす』のみが一人歩きし、空手のかけ声『押忍』のように、職場の至る所で連呼されるようになったそうです」(Aさん)
この聞き慣れない言葉の起源は古く、20年以上前までさかのぼるという。
「体育会系な社風で知られる別の通信会社で使われていた言葉で、同社社員が大量採用された時に広まったと言われています。挨拶やかけ声ならまだしも、社内のメール文でも見かけた時は、さすがに戸惑いました」(Aさん)
メーカーで働く20代の女性・Bさんの職場では、「ライザップ」が連呼されるようになった。
「フィットネス事業などで知られるライザップ。同社のテレビCMがオンエアされた時期に、会議の場で聞くようになりました。『結果にコミットする』というおなじみのフレーズが、『営業目標を必ず達成する』という意味で用いられるように。聞き馴染みのあるキャッチーな言葉だったこともあり組織内への浸透も早かったです」(Bさん)