重要な「終活」の一つに、生前整理がある。生前整理の目的は「自分(親)にとって大切な物を選び残すこと」と話すのは、掃除、片付けの達人として数々の家の片付けを支えてきた生前整理普及協会・代表理事の大津たまみさんだ。
「生前整理というと、“死に支度”などというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。もちろん亡くなった後のことも見据えますが、何よりその時までの人生をより充実させるための整理。老いた心身が安全、快適に過ごせるよう、物とのつきあい方を変える大きな転換期なのです」(大津さん・以下同)
親子で取り組む、具体的な片付けの進め方を大津さんに聞いた。
「まず(1)簡単な間取り図を書きましょう。家全体を俯瞰して、片付ける順番を決めるのです。“書斎の棚”“寝室の押し入れ”など場所を細分化して、1か所ずつつぶしていくように計画します。押し入れや引き出しなど、扉のある場所から攻めていくのがおすすめです。
次に(2)物を4つに仕分けします。片付ける場所の床に大きめのブルーシートなどを敷いて、[いる][いらない][迷う][移動]の4分割に。たとえば1つの押し入れの中の物を、仕分けしながら全部出します。
[いる]は今、使っている物、行事などで必ず使う物。よく吟味して収納場所へ戻します。[いらない]は使えない、使わないと判断できた物。ゴミなどとして処分します。でも“一応、取っておこうか…”と8秒以上迷う物は[迷う]へ。いったん取り置いて半年後くらいに再検討。できるだけ減らしていきます。別の場所に収納すべき物は[移動]へ」
気をつけたいのは[いる]の仕分け。自分は使わないが“物としてまだ使える”と、つい取っておきたくなる。これらはフリマアプリやネットオークションなどを利用し、社会循環させる手もある。
「そもそも“片付かない!”という人は立体的に見ているから。部屋の中になんとなく納まった状態では“物”として向き合えません。平面図で家を俯瞰し、シート上に物を並べてみると“なぜこんな物をしまい込んでいた…?”と、初めて気づきます」