平成の経済を振り返るとき、大企業の再編・統合を避けて通ることはできない。バブル経済の崩壊という時代の要請があったにせよ、異なる企業風土がぶつかり合うこともある。歴史のある大企業ほど、これまでの“文化”を捨て去ることは難しいが、逆に合併のシナジー効果を最大限に発揮している企業もある。
例えば、ゲーム業界では2005年にナムコとバンダイが経営統合し、「バンダイナムコホールディングス」が誕生した。
「ナムコを一代で築いた故・中村雅哉社長が生き残りをかけた統合先を探している最中、バンダイの高須武男社長からバースデーケーキが届いた。中村氏が箱を開けるとバンダイとナムコのロゴが入っていて、『中村さん、この意味わかりますよね』『よし、やろう』とトップ同士が直に話して、統合が決まったとの逸話があります」(同社関係者)
経営統合直後に同社に入社した、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が語る。
「ナムコは分業でゲームを作るメーカー。採用も細かく職種別に分かれていました。対して、総じてプロデューサー型の社員が多いバンダイ側は驚いたようです。統合当初はしばしば社内勉強会が開かれて『ナムコのレーシングゲームの作り方は奥深い』といった講義に旧バンダイ社員が耳を傾けていました」
ナムコとバンダイの利益は合わせて約400億円だったが、現在では約870億円と倍以上に伸びた。