住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「明大前」(東京都世田谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京23区内には、「三越前」「明治神宮前」「二重橋前」「国会議事堂前」「板橋区役所前」など、「○○前」という駅名がたくさんありますが、略称で駅名となっているのが、明治大学がある「明大前」。首都圏には明海大学、明星大学、明治学院大学、明治薬科大学など、「明」で始まる大学はいくつもありますが、「明大」で通じるあたりは名門たる所以でしょう(ただし、明治大学の本部は御茶ノ水にあるので、その点は要注意)。住みたい街ランキングでは完全に圏外ですが(2010年の調査開始以来、100位以内は0回)、これがどっこい、明大生に独占させておくには惜しい魅力的な街です。
鉄道は、京王線と京王井の頭線とが交差する京王電鉄の主要駅。京王線は「京王ライナー」以外のすべての列車が停車します。新宿まで5分、渋谷まで7分で、電車賃もわずか140円。この早さと安さは感動モノです。下北沢や吉祥寺へもすぐですし、京王新線経由で都営新宿線にも乗り入れているので、都内のどまん中へも乗り換え無しで移動が可能。京王線と井の頭線の乗り換え客で、駅は一日中ごった返していますが、これだけ便利なら目をつぶってもいいでしょう。
道路状況もまあ良好といえます。駅前に甲州街道(国道20号)が通っていて、首都高速の入り口もあり、環七(環状七号線)も近いので、車移動も有力な選択肢です。ただ、甲州街道も環七も、明大前近辺はかなりの渋滞ゾーン。また、駅前は大変狭く、車で乗り入れるのは非常に困難。裏道も全般的に道が狭く、一方通行も多くて複雑なので、運転に自信の無い方はちょっと苦労するかもしれません。あと、国道20号の上を首都高速が通っており、交通量が猛烈なので、それが気になる人もいるでしょう。