住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「経堂(きょうどう)」(東京都世田谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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私鉄沿線に住まいを探す際、重要なのが「急行が停まるかどうか」ということ。経堂駅はかつて、急行の通過駅でしたが、今ではほとんどの急行列車が停まるようになりました。23区内屈指の人気タウン・世田谷区のど真ん中に位置する経堂の住心地をチェックしてみましょう。
鉄道は小田急線のみ。バス路線も弱く、基本的に小田急線オンリーですが、急行に乗れば新宿まで最速12分で、渋谷までも2駅(急行で下北沢まで1駅、乗り換えて井の頭線急行で1駅)なので、文句を言うのは贅沢でしょう。小田急線が止まってしまい、にっちもさっちもいかない時は、隣の豪徳寺まで歩いて、世田谷線に乗るという手もあります。
日常生活の便は申し分ありません。駅前には商業施設「コルティ」があり、スーパーも高級路線から庶民派まで、いくつもの店舗がしのぎを削っています。さらに駅の北側と南側にそれぞれ活気がある商店街があり、個人商店も元気です。
学生街と高級住宅街の2つの顔
経堂は2つの顔を持った街です。1つは学生街という側面。東京農大の最寄り駅で、朝夕は学生で溢れ、駅南側には学生向けのお腹を満たすようなお店立ち並んでいます。そしてもう1つは高級住宅街という側面。駅付近には高級路線の店舗や飲食店が数多く立ち並んでおり、付近を行き交う人の格好や持ち物、通行する車などを見ても、経済的に余裕がある人が多そうです。有名芸能人やスポーツ選手を見かけることも少なくありません。