新型コロナウイルスの感染拡大で、「マスクの転売」「トイレットペーパーの買い占め」など、人々の利己的な行動が全国的に報じられているが、人の優しさは失われたわけではない。生活に密着する地方紙ならではの、思わずほっこりするエピソードを紹介しよう。
3月頭から春休みまで続けて臨時休校となってしまった子供たちだが、新潟日報(3月5日付)では、休校により余った学校給食の食材を活用している地域があると紹介された。あらためて取材した。
「休校で新発田市内の小中学校計29校分の給食が中止になってしまった。余った食材を有効活用できないかと考え、民間団体『フードバンクしばた』に無償で提供しました」(新潟県新発田市教育総務課)
フードバンクしばたは、母子家庭を中心に経済的に厳しい状況にある100世帯に、寄付などで集めた食材を届ける活動をしている。新発田市から提供されたのはごぼう27kg、ねぎ52kg、オレンジ650個、ひなあられ500袋などだ。
「学校が休みになると家庭での子供の食費の負担は増えます。なので私たちは通常2~3週間に一度の食材の配達を、休校期間中はスパンを短く1週間から10日ごとにして多めに配りたいと考えていました。
そうしたところに市の教育長から7000食分の食材が余ったのでその一部を提供したいというお話があり、ありがたかった」(フードバンクしばた事務局・土田雅穂氏)
世の中、捨てたもんじゃない。
※週刊ポスト2020年3月27日号