新型コロナウイルスの影響で仕事が吹っ飛び、預貯金を切り崩す生活に入った人もいることだろう。また、容赦なく襲ってくるローン支払いに悲鳴を上げている人もいるかもしれない。そんな中、「自分はケチで物欲がない人生を送り続けてよかった」と考えているのがネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏は「ミニマリスト」ではないが、「物欲が極端に少ない」「ケチ」な生活を送り続けたといい、おかげで現在の生活が助かっているという。
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去年亡くなってしまった57歳の友人は、地方公務員で年収は600万円ほどあり、家賃2万円の公務員住宅に住む男性でした。恵まれた生活ではありますが、彼はまったく預金がなかったのです。「オレはちゃんとした収入があり、住宅費も安いし、退職後も手厚い年金があるから預金がなくても大丈夫だ」と言っていました。
しかし、彼は亡くなる数年前から病気を患い、早期退職せざるを得なくなりました。そんな彼の趣味がテレビ通販での買い物でした。
「今回はこの布団乾燥機に加え、特別に○○もつけて12回払い、1回あたり2980円!」みたいな商品を次々と買っていたのです。掃除機や炊飯器も最新型が欲しくなるタイプで、私にはそれらの品を見せて「下取りもしてくれるから安いんだよ~」なんて言っていました。さらにはPCを4台持っていて外付けHDやメモリーカードを大量に持っていて「余ったからあげるよ」なんてことまで言う。
家の中はとにかくモノで溢れていて、「これ、どうするの?」と言っていた中、ある程度整理をしたうえで、公務員住宅から都営団地に引っ越した後に急死してしまいました。
彼が亡くなってしまったことで非常に切ない思いをしましたが、その一方で、あの大量のモノを処理するにもそれなりに親族はカネを使っただろうし、はたしてあそこまでモノが必要だったのか……とあらためて「物欲」について考える機会になりました。