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NECネッツエスアイ:テレワークによる働き方改革が追い風となるか

NECネッツエスアイ(1973):市場平均予想(単位:百万円)

NECネッツエスアイ(1973):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 NECネッツエスアイ(1973)は、NECグループのネットワーク通信工事、およびシステムインテグレーションの中核会社で、ICTシステムの設計・構築から運用・保守、そしてアウトソーシングまでのトータルサービスを展開しています。

 その事業領域は、通信会社から企業オフィスICT、ひいては海底通信ネットワークや人工衛星や探査機の運用等に至るまで幅広く、ICTと設備工事力でカバーしています。

 足元の業績は好調。オフィス再編費用や成長投資費用の増加、また不採算案件が営業利益を圧迫していますが、増収効果に加え、稼働率向上やマネジメント強化による採算性向上など組織再編の効果が想定以上に費用増を吸収し、大幅な営業増益を達成。通期利益計画は引き上げられたものの、今後の不採算案件の発生リスクを織り込んだとのことで保守的な内容となっており、計画達成の確度は高く、増配の可能性も考えられます。

 また来期も引き続きテレワーク需要など「働き方改革」関連の伸びが期待される上、今期計上した組織再編費用(20億円)が剥落するため、大幅増益となることが期待されます。

 中期目線でも、社内データのデジタル化やテレワーク制度導入といった「働き方改革」関連分野の好調に加え、通信キャリア向けの5G基地局の設計・施工需要の増加などが見込まれます。また海外でもミャンマーで通信インフラの大型案件を獲得しており、複数年に渡る収益貢献が見込まれます。

 人手不足を背景に生産性向上ツールへのニーズは高まっており、同社への追い風は強いです。ICT(情報通信技術)とオフィスの空間設計を併せた「働き方改革」ソリューションの提供は、施工力を持ち合わせるシステムインテグレータとしてのポジションを確立している同社が強みとするところで、今後引き合いが強まることが予想されます。

注目ポイント

 財務状況も健全です。自己資本比率50.2%、有利子負債80億に対し、現金等に543億円保有しており、キャッシュポジションの厚い内容となっています。今後も成長投資が嵩むことが予想されますが、好調な事業から生まれるキャッシュとそれによって積み上げられる資金でカバーできると思われます。

 株価水準的には将来性が織り込まれる一方で、新型コロナウイルス蔓延の影響に起因する経済悪化懸念も入り混じっているのではないかと思います。経済状況の悪化によっては企業のIT投資が遅れ、同社においても一時的に受注環境が悪化する可能性もありますが、中長期的な需要拡大の潮流は変わらないでしょう。

 むしろ、これまで導入速度が緩慢だった「テレワーク」でしたが、新型コロナウイルスの蔓延によって「事業継続の観点から」市民権を得たと言え、今後需要は一層の高まると思われ、どちらかというと、中長期的な投資が向いていると思います。

【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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