生命保険文化センターの調査によると、患者が1回の入院で支払うお金の自己負担の平均は20万8000円。1日あたりの平均では2万3000円になる(「2019年度生活保障に関する調査」)。
だが、入院の目的や病院・病棟の種類ごとにかかる入院費は大きく変わってくる。その違いを一覧表(別掲)にした。
一般病棟への入院だけでなく、例えば救命救急病棟や集中治療室(ICU)に入院したときの費用も大きい。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「ICUに関しては、1日あたりの入院費用は一般病棟に比べて10倍くらいになります。ICUでは患者2人に看護師1人がつき、救命のための医療が行なわれます。命に関わる緊急時ですから、ある程度のお金がかかるのは当然でしょう」
他にも簡単な手術などでの短期入院や検査入院など、「入院タイプ」による違いもある。
日帰りなど短期入院の場合、それが長引き5日を超えると一般的な入院費(別掲表の上枠)になる。また、人間ドックや健診は基本的には保険が適用されない。そういった違いを知っておきたい。
「病院ごとの違い」も多くあるが、ではどうやって病院を選べばいいのか。『医療費のしくみ』(日本実業出版社)の著書がある、高崎健康福祉大学准教授・木村憲洋氏はこう語る。
「高度な医療が必要な病気では入院先が限られますが、そうでなければかかりつけ医の紹介を受けるのが安心です。病院の良し悪しは同業者が一番よく知っている。金儲け主義の病院や質の悪い病院に行かないために、ぜひ相談してみてください」
日頃から信頼できる医者とコミュニケーションを図ることが、先々の入院費抑制につながる。
※週刊ポスト2020年6月12・19日号