国民1人あたり10万円の特別定額給付金の支給が始まる中、東京・品川区が決定した独自の給付金が話題となった。
約40万人の区民を対象に一律3万円(中学生以下は5万円)を支給するもので、総額135億円の財源は区の“貯金”である「財政調整基金」から捻出するという。
区民にとっては思わぬ“ボーナス”となったが、隣接する他区民からは怨嗟の声が上がっている。人口73万人を有する隣の大田区民は「品川区より税収が多く、財政調整基金に3倍のカネがあるのに、大田区はなぜ同様の給付を行なわないのか」と不満を隠さない。
大田区によると「基礎自治体には防災をはじめ対応すべきことが多岐に亘り、区によって考え方も違う」ことから、現時点での給付については「答えられない」とのこと。
品川区に限らず、国とは別の“上乗せ給付”を行なう市町村は全国にあるが、「もらえない住民」に釈然としない思いが芽生えるのは当然だ。地方自治に詳しいライター・小川裕夫氏が解説する。
「都市部では公園など公共施設の整備に民間の協力を得やすく、財政支出が抑えられるという側面があります。品川区では人口増加で子供の数も増えていますが、私立に通わせる富裕層が多いためか、保育所数や待機児童の問題は顕在化していない。その分、別の予算に回せるという事情もあります」