「コロナ・ショック」によって、日経平均株価は今年1月から3月の2か月間で8000円下げたが、そこから3か月で7000円近くも上昇。その後も値動きの荒い展開が続き、今後の株価推移の見通しが立てにくい相場環境になっている。コロナ禍で落ち込む実体経済とは、まったく異なるような値動きを見せる株価は、この先どうなるのか。カブ知恵代表の藤井英敏氏が読み解く。
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新型コロナの影響で実体経済が厳しい状況に追い込まれるなか、株価が上昇し、「不況下の株高」の様相を見せているが、今回のコロナ不況がなぜ起こったか。よく考えてみたい。
確かにそのきっかけは新型コロナの世界的な感染拡大にある。だが、感染拡大阻止のために各国政府がさまざまな形で経済活動を止めたことが、結果的に世界的な不況につながっている。いわば“人為的な不況”といえるだろう。
そして、過去の世界的な経済ショックと大きく異なる点がある。2008年のリーマン・ショックや1997年のアジア通貨危機では、金融機能がマヒしたことで世界中が混乱に陥ったが、今回は各国政府や中央銀行が確固たる意思で金融機能の維持に努めており、機能不全には陥っていない。もっといえば、各国政府は積極的な財政出動を展開し、中央銀行は国債のみならず社債でも株でもなんでも買うなど、かつてないほどの金融緩和を行なっている。それによってもたらされる過剰流動性が、株価を底上げしている格好だ。
つまり、各国政府が人為的に経済活動を止め、その穴をこれまた人為的に埋めようとしている構図だ。コロナ・ショックによって失われたお金を100とすれば、その100を財政出動と過剰流動性で埋めようとしており、経済規模をほとんど変えないようにしているのである。