新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いくら働いても稼げない「ワーキングプア」が激増しているという。コールセンターで働く40代女性が明かす。
「ショップが臨時休業している間、電話が鳴りっぱなしでした。業務量は激増したものの出勤する人が減り、食事する時間もない。それなのにお給料は変わらない。狭い部屋で大人数が集まり、マイクに向かってしゃべる仕事なので、“もし1人でも感染者が出たら”と怖くて仕方ありませんでした」
だが、彼女は仕事があるだけ、まだいいのかもしれない。NPO法人「ほっとプラス」理事で社会福祉士の藤田孝典さんは、こんな現実があると述べる。
「アーティストや劇団員、俳優、音楽家、お笑い芸人、テーマパークのキャストなど、都会でしか成り立たない仕事は多い。皆さん一様に仕事にあぶれています。特に、私たちのもとには、水商売や風俗業に従事する人からの相談が多く寄せられています。
いまは求人自体が大きく減った。企業側も先行きが見通せず、採用を控えている現状があるのでしょう。アーティストなどの業種の間では、これを機に引退しようという人が増えています」
働き方評論家で千葉商科大学准教授の常見陽平さんは「東京が特にダメージが大きい」として、こんな話をする。
「レストランでもショップでも、これまでは利用客であふれ、賑わっているお店に人気があった。しかし皮肉なことに、今後そういう店は“3密で危険”ということになる。サービス業は都市部に集中するものなので、東京の打撃は計り知れません」