相続トラブルは誰にでも起きる可能性がある。トラブルを避けるために大切なのが「タイミング」である。税理士法人タックス・アイズ代表の五十嵐明彦氏が指摘する。
「たとえば、親の死後に遺言書がないと、遺族が遺産分割で揉めるケースが多くなり、相続税の納付期限までに協議が終わらないことがあります。また親のものと思っていた不動産が祖父名義だったりすると、祖父の相続人をすべて特定する必要が生じて、煩雑な作業に追われます」
別掲の表に必要な手続きとそのタイミングをまとめた。被相続人の生前から計画的に手続きの準備を始めたい。ここでは生前~死後14日以内にやるべきことを紹介する。
遺言書をつくろう
生前で最も大切なのは遺言書の作成だ。
「誰が何を相続するか遺言書で定めておけば、大半の相続はスムーズに進みます」(前出・五十嵐氏)
遺言書には、本人自筆の「自筆証書遺言」と、公証役場の公証人が書く「公正証書遺言」がある。
「自筆は費用がかからず手軽に作成できますが、日付や押印などの形式に気をつけないと法的に無効になり、『みんなで仲良く分けること』といった曖昧な表現で書くと争いの原因になります。不安な人は、公証役場で公証人に依頼すれば安心できます」(前出・五十嵐氏)
遺言書を作成する際は、相続人とも話し合っておきたい。「夢相続」代表で相続実務士の曽根惠子氏が解説する。
「養子や認知した非嫡出子なども相続の権利があるため、相続時に揉めることがあります。生前に相続人の人数を確認して家系図を作成し、相続人に配慮すれば、“争続”を避けられます」