ドコモ口座の不正引き出し問題によって、銀行に預けているお金が気付かないうちに流出するリスクが明るみに出た。この問題で何より怖いのは、「口座情報が犯罪グループなどの手に渡ると、誰でも不正に引き出される可能性がある」という点だ。
それを確実に防ぐにはこまめに出金記録をチェックするしかない。となれば多数の銀行口座を持つメリットは薄れ、「口座整理」が必要になってくる。ただ、その方針は年齢や家族構成、預金額などによって変わってくる。「口座整理」はどうするべきなのか──。
大前提となるのが「預金額」についての考え方だ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が説明する。
「万が一、銀行が破綻した場合、保護される預金の上限額は1金融機関につき1000万円までなので、1つの銀行には1000万円まで預けるのが基本ルール。そのうえで自分の生活スタイルに合わせた口座整理の仕方を考える必要があります」
●定年後世代の夫婦は「家族口座」をなくす
リタイア後の夫婦の場合、どちらかが亡くなるケースを想定しておく必要がある。
「現役時代は子育て資金の管理などに使えた家族の共用口座も、夫の名義のまま残していると、夫に先立たれた場合に妻が引き出せなくなるので、あらかじめ夫婦で分けておいた方がいい」(深野氏)
ただ、名義を分けようとすると「贈与税」が発生するケースも考えられる。
「たとえば共用口座に1000万円あって500万円ずつに分けようとすると贈与税がかかるので、毎年110万円以下なら非課税となる『暦年贈与』でコツコツ移すといいでしょう」(同前)