職場のいじめや嫌がらせによるトラブルに悩む人は少なくない。特に派遣や契約社員など、非正規雇用の割合が多い女性がターゲットになることも多々あるのだ。弱い立場だからこそ、自分を守る方法を知り、気持ちよく働きたいもの。東京法律事務所の弁護士の岸松江さんが、実際に起きた事例をもとに、職場でのいじめへの対処法と、その根拠となる法律を紹介する。
【事例】
職場で嫌がらせを受けています。契約社員のため、辞めさせられたくないので、誰にも相談できません。
いまの会社で契約社員として働き始めて5年目になります。いろいろな仕事を任されるようになったのですが、主に雑用が多く、なぜか会議のときは、私だけ呼ばれません。ほかの契約社員は呼ばれているのに……。メーリングリストも私だけ外されていて、重要な変更事項を知らなかったためにミスをしたり、トラブルになることも増えました。人事部に相談したいのですが、余計なことを言って次の更新で切られるのが怖い。がまんするしかないのでしょうか。
【法律】
◆労働契約法 第18条(2013年4月1日施行)
・無期転換ルール
同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。対象となるのは、原則として契約期間に定めがある有期労働契約が通算5年を超えるすべての人。契約社員やパート、アルバイトなどの名称は問わない。
【解説】
◆まずはいじめの証拠を集めて人事部に報告を!
「現行法では原則、会社は合理的な理由がなければ従業員を解雇できません。そのため、本人に辞めたいと言わせるよう、いじめや嫌がらせ(ハラスメント)を行うケースが増えています」(岸さん)