新型コロナウイルス感染拡大が問題視されるようになってから約10か月、現在も“第3波”が到来しており、家にこもりがちな日々は変わらない。しかし、そうした中でも新たに家庭における楽しみを見つけている家族は多く、この未曽有の危機においても絆を深めている。
3Dプリンターなどの販売を行うフェリデンシア・キャピタルが8月に実施した調査によると、約4割の人が「3月以降に新しく家電を購入した」と回答しており、その内訳はリモート会議関連が37%、料理関連が32%だった。また、44%が「新たに始めた趣味がある」と答え、筋トレやストレッチ、お菓子づくりなどを挙げている。トレンド評論家の牛窪恵さんが話す。
「バランスボールやフラフープなど、かつて流行した健康グッズがかなり売れている。また、ステイホームで40~50代の動画視聴割合が急増する中で、上半期に大幅に会員数を伸ばしたのは定額制動画配信サービスの『Netflix』。爆発的にヒットしたドラマ『愛の不時着』から韓流ドラマにはまったり、昭和のテレビドラマを見返すようになったりした人が多かった。
また、10~20代は、同じくヒットしたアニメ『鬼滅の刃』以外にも、学習などにも動画配信を積極的に利用しています。オンデマンドで講義動画を視聴できる定額制サービスの『スタディサプリ』(リクルート)も会員数を伸ばしています」
仕事、買い物、娯楽、勉強まで、コロナの流行によって日常の行動の多くがオンライン化し、若者に限らず全世代がそれを利用するようになってきている。だからこそ、家族の絆を求める風潮は一層高まるはずだ。「幸福学」を研究する慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さんは「愛は“傾聴”で修復できる」と話す。
「パナソニックのアンケートで、7割の男性が“自宅でトイレを使うときに座るようになった”と答えています。トイレくらいは自分で掃除するようになって、座った方がいいと気づいたのかもしれないし、妻に“汚れるから座って”と叱られたのかもしれません。少なくとも、日本中の家庭で、そういった、些細だけど大切な話し合いが持たれた証拠だといえます」
「忙」という字は「心を亡くす」と書く。コロナ前まで「忙しいから」と目を逸らしていた、大切なものがあるはずだ。収束どころか、三たびの感染拡大を見せているコロナ禍を、どう家族で乗り越えるのか。ただ不安だったこの10か月とは違う、2021年のウィズコロナ。「転んでもただでは起きまい」と、誓わずにはいられない。
※女性セブン2021年1月1日号