多くの国民から「高すぎる」との声も出ているNHKの受信料。「NHKは見ないから、受信料は払いたくない」という人も少なくない。なかには「NHKは『スクランブル化』を導入せよ」という声もある。
スクランブル化とは、放送電波を暗号化し、解読する装置がないと受像機(テレビ)で番組が見られないようにすることを指す。「受信料を払う人だけがNHKを見られる」ということであり、“見ない人は払わなくていい”ことになる。
WOWOWなど民間の放送事業者で導入されている仕組みであり、災害などの緊急時にはスクランブルの解除も可能だ。
NHK側がこうした議論に正対しないのは、全員一律に徴収が認められている受信料の収入がスクランブル化で減ることを避けたい意図があるとの指摘が根強くある。
改めて、NHKに「なぜスクランブル化をやらないのか」と問うた。
「NHKは放送法第15条で、公共の福祉のために、日本全国で受信できるよう、豊かでかつ良い番組を放送することが求められており、すべての人に必要な情報をお届けするという『公共の役割』を果たさなければなりません。
また受信料を財源とすることで、特定の利益や視聴者に左右されず、生活の基本となる情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、『いつでも、どこでも、だれにでも』提供できます。スクランブル化の導入は、NHKに求められるこうした『公共の役割』と相容れないものと考えます。また、主な海外の公共放送においても、こうした方式を採用しているところはないと認識しています」(広報局)
適切な改革に向け、今後も議論が必要となりそうだ。
※週刊ポスト2020年12月25日号