亡くなった家族が払っていた様々なサービスの会費、ローンなどについて、正しい対応をせずに放っておいた結果、後でまとめて請求されて大慌て……という事態も相次いでいるようだ。
なかでも、死後に放置していると多額の支払いを負うことになるのが、相続に伴う税金などだ。実家の父を3年ほど前に亡くした元参院議員の丸山和也・弁護士は、相続した実家の農地の固定資産税に悩まされていると言う。
「兵庫の代々受け継いできた農地を相続しましたが、東京にいる私には使い道がない。今、農地は宅地利用も可能になり、多額の固定資産税がかかります。年に4回業者に依頼して草刈りをしていますが、これも1回10万円以上かかる」(丸山氏)
相続資産が「負の遺産」に化けるケースはほかにもある。相続手続カウンセラー協会代表理事の米田貴虎氏が指摘する。
「最近ではゴルフ場の『会員権』が負担になることがあります。親が持っていたものを子が知らずに相続してそのままにすると年会費が3万~10万円かかる。支払わないと滞納金となり、これを清算しないと売却や名義変更ができない。
名義変更するにも『名変料』というものがあり、親族でも10万~100万円もかかることがある。農地同様、もし相続しないなら事前に手放しておいてもらいましょう」(米田氏)
親が乗っていた自家用車も、名義変更や廃車手続きをしない限り、自動車税が毎年故人の名義で請求される。
名義変更しようにも、軽自動車と普通自動車では窓口が異なる上、名義相続人が決まっている普通自動車の場合は戸籍類に加えて遺産分割協議書などが必要で、子が行なう手続きは面倒なものになる。生前に名義変更しておくほうが手間は省けるだろう。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号