昨今、観光地などでは個人の所有地での写真撮影がトラブルになることも少なくない。もし誰かが私有地へ無断で入り、写真を撮影していたことが分かった場合、法的にどう解決できるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
数年前から悩んでいます。私の家の庭は私鉄の線路沿いにあり、そのせいか頻繁に「撮り鉄」と呼ばれる人たちが侵入、写真を撮っているのです。私も最初は見て見ぬふりをしていましたが、庭の柿も盗られるようになってきたので困惑しているのが現状です。今後、彼らをどのように扱えばよいのでしょうか。
【回答】
正当な理由もないのに、人の住まいに立ち入ると、住居侵入になり、3年以下の懲役、または10万円以下の罰金で処罰されます。
庭に入れるスペースに塀がないようですが、その場合でも日常目の届く家の周りの庭であれば、保護の対象となり、鉄道写真の撮影は、住居に立ち入れる正当な理由とはいえないので住居侵入です。ただ、広い庭で立ち入る場所が遠く、目が届かない場合、そこは住居や人の看守する邸宅の範囲内とはいえず、住居侵入になりません。
それでも「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」は軽犯罪法で処罰されます。柿の実を盗られるのが柿畑なら、侵入者は軽犯罪法違反になります。そうでなければ、「入ることを禁じた」場所であることが軽犯罪法により、保護される条件となります。そこで、勝手に立ち入る撮り鉄たちの目につく場所に、このスペースは個人の庭であって立ち入りできないことを明示する立入禁止看板などを掲示することで、軽犯罪法による保護を求めることができます。立ち入ると警察に通報するなどの警告を添えれば、効果的かもしれません。