50代になると仕事も安定し、子供も手が離れるため、預貯金に回す余裕も増える。自然と銀行へ足を運ぶ回数も多くなるが、そこに意外な罠がある。地元の地方銀行で体験したトラブルを浅倉由紀子さん(仮名・50才)が話す。
「将来を考えて、資産運用について窓口へ相談に行ったんです。私は詳しくないので、担当のかたに教えてもらいながら検討できたらと思っていました。しかし、それが大失敗。手数料の高い投資信託を売りつけられ、営業の電話もしつこい。一気に信用がなくなりました」
金融機関の窓口を訪れた客が、意に沿わない金融商品を売りつけられたというトラブルは珍しくない。ファイナンシャルプランナーの横川由理さんは、「金融機関へ行くのは必要最低限にすべき」と指摘する。
「平均寿命まで30年ある50代は、老後に備えて新たな資産運用を始めても問題ない。しかし窓口へ行くと、担当者から、運用担当者へ誘導され、不要な保険や高い金融商品をつかまされるといったことがあります。煩わしい営業に巻き込まれないよう、窓口へ行くのはやめ、オンラインで手続きを済ませる人も増えています」(横川さん)
こうしたお金に関する落とし穴は、50代に限った話ではない。金融機関とは年代に合わせた付き合い方が求められている。たとえば、ずっと定期預金を続けてきても、70代になれば、その解約を視野に入れる時期だ。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが話す。
「定期預金は契約した本人にしか引き出せません。70代になったら、急に倒れたり、認知症で介護が必要になることもあり、いざというときに家族が代わりに引き出せないのは最大のデメリット。利率は大して変わりませんし、元気なうちに普通預金に移しておきましょう」
人生100年時代、老後に備えた資産運用や家計の管理は必須となるだけに、思わぬ落とし穴にハマらぬよう注意したい。
※女性セブン2021年2月18・25日号