投資情報会社・フィスコが2月8日~2月12日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は、上げ渋る展開が予想される。10-12月期のユーロ圏域内総生産(GDP)の低調な内容を受け、欧州中央銀行(ECB)による緩和的な金融政策の長期化を想定したユーロ売り・米ドル買いが観測されており、この影響でドル円の取引でもドル買いが優勢となっている。日本と米国の成長率格差を意識したドル買い・円売りも確認されている。バイデン政権による新型コロナウイルス救済法案への期待感から長期金利は大きく持ち直した。ワクチンの購入資金としてドルの需要が見込まれていることも、目先的なドル買い材料になるとみられている。
ただ、105円台後半から106円台の価格帯で顧客筋などからのドル売り注文がまとまった規模で観測されており、これらがもう一段のドル上昇を抑える可能性がありそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2月10日にニューヨークで講演(オンライン)を行う予定となっている。楽観的な景気見通しが提示されず、景気回復の遅れや雇用について懸念が表明された場合、米長期金利は低下し、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。持続的なドル高につながる新たな材料が提供されなかった場合、ドルの上値は重くなる可能性は残されている。
【米・1月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の1月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.5%と底堅い内容が予想される。ただ、米緩和政策は長期化が見込まれ、反応は限定的となりそうだ。
【米FRB議長講演】(10日開催予定)
パウエルFRB議長は10日にエコノミッククラブ・オブ・ニューヨーク主催のオンライン講演を行う。景気回復の遅れを改めて指摘するとみられているが、1月雇用統計の内容を踏まえた発言などが注目されそうだ。