吉田みく「誰にだって言い分があります」

「過剰ストックしがち」な40代主婦を反省させた、10歳息子の一言

非常食のバリエーションは増えたが…(イメージ。時事通信フォト)

非常食のバリエーションは増えたが…(イメージ。時事通信フォト)

 死者・行方不明者合わせて2万2000人以上(震災関連死を含む)にのぼる未曾有の災害となった東日本大震災(2011年)は、地震や津波で直接的な被害を受けた地域以外にもさまざまな影響を及ぼした。フリーライターの吉田みく氏が、「3.11」をきっかけに生活スタイルが変わったという40代主婦に話を聞いた。

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 東日本大震災から10年が過ぎた。都内在住のパート主婦、相田文子さん(仮名・43歳)は「3.11」をきっかけに、日用品や非常食をストックすることを意識した生活をし始めたという。夫と10歳の息子の3人家族である。

「震災当時、私は0歳児の育児の真っ最中。しばらくの間はおむつと粉ミルクを探し求め、赤ちゃんを連れてドラッグストア巡りをしたことを鮮明に覚えています。それ以来、非常時に対応できるよう日用品や食品を自宅にストックするようになりました」(相田さん、以下同)

 防災意識を高くもつ生活を心掛けていたこともあり、昨年4月の新型コロナウイルス緊急事態宣言の際は、買いだめ騒動に巻き込まれることなく対処できたそうだ。そんな相田さんだが、最近、自宅で災害用にと備蓄している非常食を巡って夫と言い争いになったという。

「夫から、『賞味期限切れているよ。買いだめしすぎじゃない?』と指摘されました。管理不足なのは認めますが、普段から何もしない人に言われるとイラッとしてしまいます」

 相田さんは非常食を日常的に食べながらストックする(食べたら買い足す)「ローリングストック」という備蓄方法をとっている。しかし、セールなどで安くなっているものを買いだめしすぎてしまい、結果的に3人家族では十分すぎる量が常に家にある状態だという。どこかのタイミングで購入数を抑えれば済む話のようだが、相田さんには出来ない理由があるそうだ。

「私にとってストックすることは趣味の一つ。お得なものをまとめて買うことは賢い生活術だと思っています。あと……10年くらいストックを意識した生活をしていると、日用品や非常食がなくなって隙間ができるとソワソワしちゃうんですよね。この気持ち、多くの方に共感してもらえるんじゃないでしょうか」

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