2011年の東日本大震災から10年、改めて防災について考える人も多いだろうが、万一の時のための「備蓄」についても見直しておきたい。食料や防災グッズはもちろん、生命線ともいえる「水」は特に欠かせない存在だ。
ただ、いざ保存用の水を購入するとき、普段飲んでいる通常のミネラルウォーターと、備蓄向け長期保存用のミネラルウォーターとでは何が違うのか、保存のコツはあるのか――。そんなさまざまな疑問について、長期保存水(以下「保存水」)を販売する大手メーカー3社に聞いてみた。
保存水のパイオニア、富士ミネラルウォーターは4サイズ展開
まずは富士ミネラルウォーター。1929年に日本初となるミネラルウォーターを販売した会社であり、保存水についても先駆けとして1971年に発売したパイオニア。「富士ミネラルウォーター 非常用5年保存水」のサイズ展開も500ml、1L、1.5L、2Lと豊富だ。
同社によると、長期保存水を展開するきっかけは、1965年に山形県で起きた漁船の遭難事故だったという。当時、日本初の備蓄水「救命水」を発売しており、遭難した漁船が備えていたことで、11日間の漂流にもかかわらず奇跡的生還を果たした。
「当時、この遭難事故は大きなニュースとなり、後に船舶には救命水が常備されることが義務づけられました」(同社営業部担当者)
以降、同社は保存水を次々と展開。500 mlポリエチレン容器を皮切りに、1992年に2Lペットボトル、1997年には500mlペットボトルを発売。20年にはパッケージをリニューアルし、通常商品のデザインをベースにしたラベルに「保存用」を強調した。
【通常商品と非常用保存水は何が違うのか】
さて、同ブランドの通常商品と保存用とでは何が違うのか。担当者は「原料に関しては同じ水源を使用し、製造工程も変わりません」と答える。通常商品と保存用商品では、中身は変わらないが、ペットボトルの厚みや段ボール、賞味期限の違いがポイントになる。