投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月29日~4月2日の動きを振り返りつつ、4月5日~4月9日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は反発した。週半ばまでは米投資会社の巨額取引を巡る混乱が突如警戒要素として台頭し、期末で新規の買いも入りにくいなか不透明感から上値を抑制した。また、バイデン米大統領による大規模投資計画の詳細を見極めたいとする様子見ムードも強かった。水曜日には米国10年物国債利回りが14カ月ぶりとなる高水準を記録したがナスダックの下落率は軽微にとどまり、東京市場でもグロース(成長)株・ハイテク株に強含みとなるものが多いなど金利耐性が窺えた。
バイデン米大統領の投資計画の詳細が発表され、既定路線だったインフラ関連以外に、半導体生産支援などにも大規模な予算が割り当てられたことが刺激材料となり、週後半から半導体関連株が軒並み大幅高となった。また、日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査が市場予想を上回る結果となったことも市場心理の改善に寄与した。
週末は、1983年来で最高を記録した米3月ISM製造業景況指数や原油価格の上昇がありながらも米長期金利が低下した米国市場の動きが好感され、市場センチメントも向上した。金利耐性のほか米大規模投資計画などを背景に、半導体を中心とした値がさのグロース株がけん引役となり、日経平均は週末にかけて上げ幅を拡げる展開となった。
今週の日経平均は堅調か。4月に入り新年度相場入りとなった。近年みられる機関投資家による益出し売りなど需給面での重しとなる要素も指摘されているが、期末に伴うリバランス売りや企業の政策保有株の売却も3月までで一巡したことで上値の重さは解消されてくるだろう。益出し売りをこなした後はニューマネーの流入も期待できる。また、4月は世界的にも株価パフォーマンスが好調な月として有名で、海外投資家が日本株を大きく買い越してくる傾向もある月だ。そうした中、米国の大規模投資計画の詳細も発表されて市場心理も向上してきている。
また、3月第4週から落ち着きが見られていた米長期金利は、3月31日に1.77%と14カ月ぶりとなる高水準を記録したが、その後改めて小康状態となり落ち着きがより鮮明になった。4月1日の米長期金利は、上述の大規模投資計画の発表や歴史的な記録となる強い経済指標、原油価格の上昇などで期待インフレ率が上昇し続けるなかでも、上昇どころかむしろ1.6%台に低下する動きを見せた。1.7%水準では利回り妙味に着目した債券需要が強いということだろう。