就職や転職をするために、「資格」は大きな武器となる。しかし、その資格を取得するのはそう簡単なことではない。勉強する時間の有無や年齢などにも左右されるだろう。そして、資格取得後は、いかにして資格を生かしていくかも問題だ。ここでは50代で社会保険労務士の資格を取得した女性の実例を紹介しよう。
退職して勉強に専念。3年かけて資格を取得
簿記や税理士などの資格を生かして証券会社などで約30年、経理事務に従事してきた木村真珠さん(仮名・59才)だが、50才を前に、「これからは、困っている人の力になれる、労務の仕事もしてみたい」との思いが芽生え、合格率約7%の難関国家資格「社会保険労務士」に挑戦することにした。
「50才で勉強を始めて、大きな2つの壁に直面しました。1つは老眼。マークシートの模試を受けたとき、目がちかちかしてマークが見えなかったんです」(木村さん・以下同)
もう1つは、記憶力の壁だ。
「20代で税理士の勉強をしていた頃は、どんなに分厚い本でも暗記できたのに、全然覚えられなくなりました」
フルタイムで仕事をしながら勉強をしていたが、結局1回目の受験は失敗。このままでは合格できないと退職し、2年目からは週5日、専門学校に通って勉強に専念した。
「学校がない日は近所のファミリーレストランで1日12時間くらい勉強しました。そうして3度目の正直でようやく合格証書を手にしました」
合格できたのは、夫の理解や支えのほか、勉強仲間の存在も大きかったという。
「通っていた学校で、4人の友人ができ、“ここが苦手。教えて”などと切磋琢磨して勉強しました。それがなければ、3年も続けられなかったかもしれません」