投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月24日~5月28日の動きを振り返りつつ、5月31日~6月4日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は大きく反発した。インフレ懸念が一時後退し、米長期金利が安定していたことに加え、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン価格も落ち着きを取り戻していたことから、週初から半ばまでは、もみ合いながらも、じりじりと上げていく展開となった。結果、25日には、前の週に超えられなかった28500円を終値ベースで回復した。27日は、5日続伸していた反動が意識されたほか、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数構成銘柄見直しに伴う需給イベントが警戒され、売り先行となり下落して終わったが、後半には下げ渋って28500円は保持。
週末は、需給イベント通過に伴うあく抜け感から買い戻しが強まり、一気に29000円を回復。朝方の買い先行後も騰勢が衰えることはなく、600.40円高の29149.41円で大引けた。個別では、週末こそ大きく上昇したものの、東証1部の主力株は、半導体などのハイテク株や値がさグロース(成長)株から、鉄鋼、海運といった景気循環株まで方向感に欠ける動きのものが多かった。
そうした中、アフターコロナ関連の戻りが目立った。遅ればせながら日本国内でもワクチン接種の体制が徐々に整備されてきたことや、米モデルナのワクチンが、12-17歳の若者に対しても有効性が極めて高いことが明らかになったことなど、ワクチンに関するポジティブなニュースを背景に、JAL<9201>、ANA<9202>などの大手航空から、エアトリ<6191>やエイチ・アイ・エス<9603>などの旅行関連、OLC<4661>といったレジャー関連で大きく上昇するものが見られた。
そのほか、前の週末からの戻り基調が続き、幕間つなぎの物色が向かった新興市場でも、マザーズ市場を中心に、それまでの急落がきつかった銘柄を主体に、押し目買いが旺盛となった。
今週の日経平均は弱含みか。目先の戻り一服感に加え、重要な経済指標が相次ぐことから、神経質な動きとなりそうだ。
インフレに対する過度な警戒感は後退してきている。米連邦準備制度理事会(FRB)が繰り返すように「(急速な)物価上昇は一時的」とする主張を徐々に信じるようになったのか、4月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を皮切りに、高官らが次第に量的緩和縮小の議論開始を示唆するようになったことで、政策方針の柔軟姿勢をポジティブに捉えたのかは定かではない。いずれにせよ、足元の米ブレークイーブンインフレ率(期待インフレ率の指標)も米長期金利も落ち着いている。
また、ビットコイン価格も落ち着いてきた。影響力の大きい電気自動車大手テスラのCEO、イーロン・マスクやマイケル・セイラー両氏が、エネルギー使用報告を標準化するためマイナーの業界団体が結成される可能性についてツイートしたことがサポートした。