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孫正義氏のスタンス「私は賢い投資家ではありません。『冒険投資家』です」

孫正義が語った「冒険投資家」の真意とは(写真/共同通信社)

孫正義が語った「冒険投資家」の真意とは(写真/共同通信社)

【最後の海賊・連載第5回後編】成功しても常に挑戦を繰り返す「起業家」の楽天・三木谷浩史氏。対して、同じ道を先行してきたソフトバンクの孫正義は起業家を卒業し、「次のステージ」へ向かおうとしていた──。週刊ポスト短期集中連載「最後の海賊」、ジャーナリスト・大西康之氏がレポートする。(文中敬称略)

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 2001年、ソフトバンクはADSL(非対称デジタル加入者線)のブロードバンドを提げて通信市場に参入した。相手は巨艦NTTである。ブロードバンドの事業部はその頃、ソフトバンクの本社があった東京・箱崎の雑居ビルに拠点を構えた。立ち上げに失敗すればソフトバンクも一巻の終わりだ。

 孫は本社の社長室を出て雑居ビルに籠った。パイプ椅子を並べて寝ているものや、寝袋を持ち込んで泊まりこんでいるものもいる。仮眠室には二段ベッドがぎっしり。『孫正義300年王国への野望』(杉本貴司著)によると、そんな雑居ビルのオフィスを孫は「養鶏場」と呼んでいた。

 2012年に1兆5700億円で買収した米携帯大手スプリント・ネクステルの再建に手間取り、同社が赤字を垂れ流し続けた時も、孫は一時的に拠点を米国に移し、陣頭に立った。2016年に英半導体大手のARMを3兆3000億円で買収する際は、地中海にクルーザーを浮かべていた相手CEOに直接、電話をかけ、ヨットハーバーで買収交渉をする大立ち回りを見せた。

 だが孫は少しずつ経営のスタンスを変えている。2014年9月に「後継者含み」でグーグル副社長のニケシュ・アローラを招聘。2015年3月期末までのわずか半年で165億円の報酬を支払い、話題になった。真意の程は不明だが「もう少し社長を続けたくなった」という孫の我儘でアローラは在任わずか1年10ヶ月で退任。68億円の退職金を受け取ってアメリカに帰った。

 2019年11月6日、SBG(ソフトバンクグループ)の記者会見は孫の反省弁から始まった。

「ボロボロでございます。真っ赤っ赤の大赤字。まさに台風というか大嵐でございます」

 2019年7~9月期、SBGの決算は7001億円の最終赤字に転落。孫は2017年にサウジアラビアの政府系ファンドなどと「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF、通称10兆円ファンド)」を立ち上げたが、巨額を投資した先である米シェアオフィス大手、ウィーワークやカーシェアリングの草分け、ウーバーなどベンチャーの評価額が軒並み暴落し、減損に追い込まれた。

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