コードの煩わしさがない無線・コードレス(ワイヤレス)機器。置き場所にとらわれない自由さや手軽さ、コードがない見た目のスッキリとした印象も魅力的だ。だが、いったんコードレスにしたものの、再び有線の機器に“出戻り”する人たちもいるようだ。そこにはどんな事情があるのだろうか。実際にコードレス機器を使わなくなった人の声を聞いた。
オンライン会議中にWi-Fiが途切れて…
「在宅勤務になってから、それまでワイヤレスで使っていた仕事関連の機器を有線に切り替えました」
そう明かすのはメーカーに勤務する男性・Aさんだ。真っ先に不満を覚えたというのが、インターネット回線の無線LANルーター(Wi-Fiルーター)だった。
「以前はそれほど気にならなかったWi-Fiの不安定さが、在宅での仕事となるとめちゃくちゃ気になるようになりました。作業中に途切れるとストレスだし、それが運悪くオンライン会議中だった時はもう最悪でした。まだ社内の会議だったので、事情を説明して理解を得ましたが、社外の人との会議だと面倒なことになりかねない。今はPCにLANケーブルを接続しています。10年ぶりくらいに有線に戻しました」(Aさん)
Aさんはインターネット回線と同じように、他の機器も“有線化”を進めている。それまでノートPCに23.8インチモニターをつなぎ、ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスで作業していたが、どちらもわざわざコードありのものに買い替えたという。
「キーボードはもともとタブレット端末にも使えるかなと思って、持ち歩くことも想定していました。でも今は持ち歩くことはなくなり、固定。ずっと使うようになると、時々起こるキータッチと実際の文字入力とのラグにイラっとして、結局、有線キーボードを買い直しました。無線マウスは比較的安定していて、これは大丈夫だと思っていましたが、机が狭いのでよく落としてしまうので、こちらも有線に買い替えました」(Aさん)
スマホ充電器もケーブルが安心?
在宅時間が増える中、おしゃれさより実用性を取った人もいる。PR業界で働く40代・Bさんがワイヤレスから有線に戻したものは、「スマホの充電器」だという。
「ワイヤレスの充電器ってなんとなくおしゃれで、インテリアとしてもいいかなあと思って使っていました。夫婦共々ずっとそれで充電していたのですが、夫のスマホが1年ほどでバッテリーが膨張してしまって、買い替える羽目に……。ワイヤレス充電器の急速充電機能で、バッテリーに負荷がかかったんだと思います。置く位置によって充電効率が変わるのか、遅い時もありましたし、スマホが結構熱をもつのもちょっと怖かったんです。個人的にはケーブル充電のほうが安心です」(Bさん)