コロナ禍で満員電車を避けるための需要などで利用者が増えた電動アシスト自転車。発売当初は数十万円のモデルが一般的だったが、今ではネット通販を中心に安価なタイプが登場して5万円程度で手に入るようになった。しかし、それに伴い事故が増えているという。交通事故総合分析センターの統計データによると、ここ10年間で自転車による事故が半減した一方、電動アシスト自転車の事故は2倍に増加している。購入者たちが直面した、その意外なリスクとは──。
昨年、電動アシスト自転車を購入したという30代の男性が語る。
「坂道を上っている時に急に充電が切れて車体が重くなって横転し、その衝撃でペダルのパーツがボキッと折れてしまいました。普段は子供を乗せているので、考えただけでもゾッとします」
この男性のケースでは転倒した際にパーツが折れたというが、電動アシスト自転車の事故では走行中に起きたパーツの破損が原因のものが少なくない。消費者庁の「事故情報データバンクシステム」には、「走行中に自転車が真っ二つに折れた」「坂道を下っている途中にブレーキの部品が折れた」「子供を乗せているカゴの溶接部分が外れて子供が落下した」といった事故が報告されている。なかには走行中に前輪上部のカゴを支える金属部分が外れ、その金属が前輪に巻き込まれて前のめりに転倒し頭蓋骨骨折を負ったという大きな事故もある。
そうしたなか、国民生活センター商品テスト部は12月9日、走行中にフレームが前後に割れた事故の原因を検証し発表した。なぜ、電動アシスト自転車の事故が多発しているのか。担当者に聞いた。
「最近人気の折りたたみ式タイプの電動アシスト自転車で事故が多くなっています。ネット通販で購入し、自分で組み立てるタイプの自転車で車体が真っ二つになる事故がありました。フレームをつなぐ部分の溶接に問題があり、何度も折りたたむことで疲労破断を起こして亀裂が大きくなり、最終的にフレームが外れたと考えられます。そもそも折りたたみ自転車は普通の自転車に比べてパーツを溶接する部分が多いため、それだけ弱点が増えます。
また、フレームやパーツの問題以外にもバッテリーの充電中に発火したケースも報告されています。いずれも国産の大手メーカーの製品より、ネット通販などで購入した安価な製品のほうが事故発生率は高いと言えます」