東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が1月1日、正式に発効した。ジェトロなどの資料によれば、これは2011年8月、日本と中国が共同でASEANに対して物品、サービス、投資分野の経済連携に関する作業部会の設立を提案したことが発端だ。現段階ではインドは交渉離脱中だが、ASEAN、日本、韓国、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの15か国が、お互いの最大公約数を求め、4度のサミット会議、23回の大臣クラス会議、31回の正式会議などを経て協定に署名、発効に至った。
外務省、財務省など関連4省による資料によれば、RCEP参加国の人口は世界全体の約3割、GDP、貿易総額も約3割を占める(データは2019年)。
日本からみれば、輸出に占める参加国の割合は43%、輸入は49%に及ぶ。輸出先では、14か国全体で約92%の品目で関税が撤廃される。一方、日本は輸入先全体で約88%の品目について関税を撤廃する。
自由貿易協定として、物品・サービス貿易、投資分野から税関手続き、知的財産、EC取引、競争まで、幅広い分野でルールが決められているが、各国の経済発展状況や、産業構造に配慮しつつ、その開放度、自由度は、各国の状況に応じて無理のない水準に設定されており、比較的緩やかな経済連携だ。
このRCEPの最大の利点は、東アジア全体に広がるサプライチェーンがより一層強化されることである。
東アジア地域の自由貿易協定としては、ASEAN域内や、ASEAN・中国間の自由貿易協定が先行していた。しかし、アジア全体のモノの流れからすれば、日本、韓国、台湾の役割は非常に大きい。台湾は難しいだろうが、日本、韓国がASEAN、中国間の自由貿易協定の環に加われば、加盟国において、原産地累積規定による原産地認定の範囲が拡大し、国家間を跨ぐ複雑なサプライチェーンによって生産される工業製品などの関税が多くの場合、減額される。モノの流れがより迅速になる。東アジアが一つの経済圏にまとまることで、“世界最強の製造基地”が更に強化されることになる。