格付け会社フィッチ・レーティングスは12月9日、一部のドル建て債券について利払い猶予期間を終了しても利払いが行われていないことを理由に、中国恒大集団(03333)とその金融子会社など2社のレーティングについて、CからRD(部分的な債務不履行状態)に引き下げた。
恒大集団は12月3日、債権者から2.6億ドルの担保(債務保証)義務の履行を求められているが応じられない可能性があり、さらに他の財務責任についても債権者から履行要求が加速する可能性があると発表していた。
これを受けて中国人民銀行は3日夜、ホームページを通じてコメントを出している。
〈海外債券市場は高度に市場化されている。投資家は成熟しており、評価能力は高い。関連する問題の処理についてはしっかりと法律規定に従ってなされるだろう〉と突き放す一方、中国国内に関しては、〈短期的に個別不動産企業においてリスクが発生するだろうが、中長期における市場の正常な融資機能に影響はない。最近では、国内不動産の販売、土地仕入、借入などの日常業務は回復に向かっている〉と強調している。
恒大集団は9月以降、フィナンシャルアドバイザーや法律顧問とともに、資本ストラクチャーや資金流動性の状況について分析・評価を行っており、それをもとに債権者と話し合いを続けており、企業リストラを行い処理しようとしている。広東省政府は問題処理に向けて対策チームを派遣すると発表している。現状では、当局のサポートの下で、個別案件ごとに粘り強い話し合いによって問題が処理されようとしている。
他の先進国ではできない「強力で迅速な対応」
中国の金融システムはオフショア、オンショアの壁がはっきりと設けられている。香港などのオフショア(海外)市場で起きているデフォルトはあくまでも、国際ルールに基づいて処理されるが、オンショア(国内)市場では国内の監督管理スキームの中で処理される。
4大商業銀行、交通銀行、中国郵政儲蓄銀行といった国有銀行が総資産でも、総預金額、総貸出額でも、上位を占めており、それに中信、招商、光大といった中央系投資公司、地方政府系銀行が続く。国内金融はほぼ国有資本によって支配されている。民営で規模の大きな銀行といえば民生銀行があるが、この民生銀行であっても、中国銀行保険監督管理委員会による細かい規制を受ける。国家の方針に逆らって、自らの利益の最大化だけを貫くようなことはできない。共産党が金融市場の安定を重視している以上、金融機関はその任務を遂行しなければならない。