「それ、ちょっと貸して」「いいよ」というやりとり。ありふれた日常の光景で、とりたてて珍しいものではないように思うが、「もの」によっては様相がだいぶ違ってくる。頼んだ側は普通だと思っていても、頼まれた人は困惑してしまうこともあるようだ。「ちょっと貸してよ」と言われても、本音では困惑してしまったという実例を紹介しよう。
口紅やファンデーションを「貸して」
学生時代からスプレータイプの制汗剤を「貸して」と言われることが多かったというのは、アパレル系企業に勤務する30代女性・Aさん。社会人になってから困惑したのは「化粧品」だ。
「学生の時は制汗剤スプレーを貸し借りするくらいだったのが、社会に出てからは、化粧品を借りたがる同僚や先輩に遭遇することが多くて困っています。アイシャドウとかチークなど、指で使うものならまだしも、口紅やリップクリームを貸してくれと言われるのは本当に嫌でした」(Aさん)
中には強引な人もいたそうだ。トイレでメイク直し中に、「SNSで見て気になっていた」という理由から、「貸してほしい」と頼まれたことがあった。
「同僚は私の返事を待たずに、私のポーチからファンデーションを取り出し、使っていました。『もちろん私のものも貸してあげるから。こういう貸し借りってお得だよねー』と言われて唖然としました。勝手に“ウィンウィン”にされても困ります」(Aさん)
もちろんAさんも断ったことがあったそうだが、それはそれで面倒くさいことにもなったという。
「断ったら『ケチ』という人や、『○○は□□も貸してくれないんだよー』と言いふらす人がいて、断っても面倒なことになると痛感しました。金銭面というより衛生面の問題だと思うのですが……。コロナ禍以降、感染対策として断りやすくなってほっとしいます」(Aさん)