信者数が減少傾向にある新宗教にとって、機関紙などと並んで“宣伝活動”を担うのが系列学校の「学生スポーツ」だ。そこにもまた各校の栄枯盛衰がある──。『永遠のPL学園』の著者でノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。(文中敬称略)
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正月の風物詩である箱根駅伝で、創価大学の駅伝部が往路優勝を遂げたのは2021年1月2日のこと。池田大作名誉会長が93回目の誕生日を迎えたこの日、コロナ禍で在宅率が高かったこともあり、視聴率は30%を超えた。学会員に希望を与えて活気づけ、機関紙・聖教新聞も快挙を讃えた。
新宗教団体は、傘下の高校や大学におけるスポーツ活動がいわゆる広告塔の役割を担い、新規信者を獲得してきた歴史がある。その最大の成功例は大阪のPL教団だ。
2代教祖の御木徳近(みき・とくちか)は、社会人野球で活躍していた立正佼成会に対抗すべく野球を奨励し、1955年に創立したPL学園の硬式野球部強化を厳命。甲子園球場のアルプス席で「PL」の人文字を描いて宣伝した効果は絶大で、KK(桑田真澄、清原和博)コンビを擁した1980年代の黄金期、信者数は公称で235万人に達した。
春夏通算7度の全国制覇を誇り、高校野球の歴史においても絶大な人気を誇ったPLだが、2000年代に入って暴力事件が相次ぎ、信者の激減によってかつてのように寄付金などの浄財を野球部に投下できなくなり、2016年に事実上の廃部となった。学園の生徒数も減少の一途を辿り、今年の入試倍率(理文専修コース)は「0.02倍」に。学校自体が存続の危機に瀕している。