投資情報会社・フィスコが5月16日~5月20日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融正常化の加速をにらみ、米国金利の先高観を背景としたドル買いは継続するとみられる。日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いこともドル買い材料となる。
5月11日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)は前年比+8.3%、同コア指数は前年比+6.2%と上昇率は3月実績を下回ったが、高インフレが続いていることが確認された。今月3-4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレ抑止に向け、一段の金融正常化(政策金利の引き上げ)を推進する方針を打ち出している。そのため、今週発表される5月NY連銀製造業景況指数、4月小売売上高、5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数など経済指標が市場予想を上回った場合、金融引き締め加速を織り込む形で長期金利は反発し、ドル買い・円売りの取引が活発となる展開が予想される。
一方、20日発表の日本の4月消費者物価コア指数は、携帯電話の値下げ効果がはく落するため、日本銀行が目標としてきた前年比+2%前後の物価上昇が予想されている。ただ、日銀は現行の金融緩和策を堅持するスタンスを変えておらず、長期金利の上昇も抑制されることから、インフレ率の上昇を意識したドル売り・円買いが広がる可能性は低いとみられる。
【米・4月小売売上高】(17日発表予定)
17日発表の米4月小売売上高は前月比+1.0%と、3月実績の+0.7%を上回る見通し。個人消費が好調を持続できれば、回復持続を期待した株高につながり、株価続落を嫌気した円買いは後退しそうだ。
【日・4月消費者物価コア指数】(20日発表予定)
20日発表の日本の4月消費者物価指数(コア指数)は、携帯電話の値下げ効果が薄れ、前年比+2%程度の物価上昇が予想されている。目標達成も日銀が異次元緩和の堅持する姿勢なら円安基調に変わりはない。