一度更地にすると、新たに建築することができない「再建築不可物件」というものがある。中には、長年空き家のままで放置され、近隣住民が迷惑しているケースもあるだろう。再建築不可物件の問題について、弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
東京の下町に引っ越し。不快なのは、隣町に再建築不可物件といわれている空き家が何軒もあること。どの家もボロボロで景観も悪く、地震が多い昨今、この家々が災害被害を大きくするのではと心配になります。更地にできないのは、自治体の怠慢でしょうか。何をどうすれば、この問題を解消できますか。
【回答】
再建築不可物件とは、現在の建物を取り壊せば、新たに建築できない土地をいいます。『建築基準法』では、建物の敷地が道路に2m以上の幅で接していなければ、建築確認を受けられません(接道条件)。袋地であったり、公道に面しても間口が狭く、2m未満などの場合です。建築確認がない建物は、取り壊しを命じられることもあります。
この点、昭和25年の『建築基準法』施行前に、接道がない状態で建築された建物は違法建築になりませんが、改築ができず、再建築不可物件になっています。
「柱一本残せば、大修繕で改築できる」という話も聞きますが、注意が必要です。小規模木造住宅は、建築確認を受けなくても大規模修繕ができますが、再建築不可物件は大規模な修繕をすると、その時点で『建築基準法』が適用されます。その場合、一定の事項については適用除外もありますが、接道条件はそこに含まれておらず、それまで適法だった再建築不可物件が違法な建物になり、役所に知られると、建物の除却等の措置を命じられる可能性も否定できません。