上海総合指数が戻り歩調だ。メーデー休暇前の4月27日、安値2863.65ポイントを付けて底打ちすると、そこからはっきりとした上昇トレンドが出ている。端午節休場明けの6月6日は1.3%高、3236.37ポイントで引けており、4月の安値からは13%上昇している。
中国本土の投資家たちは中国経済の先行きに自信を持ち始めているのだろうか。ゼロコロナ政策が緩和されたわけではない。少し前まで感染者数の多かった北京市では、マンションの“1棟丸ごと封鎖”がようやく解除され始めたところだ。ただ、全国で見た場合、感染者数は激減している。
6月6日時点で、中国本土の新規感染者数(発症者数)は39人、症状の出ていない陽性者数は85人。4月27日段階では、前者は1494人、後者は9791人であったことから、その激減ぶりがわかるだろう。地域別の状況をみると、39人の内訳は、内モンゴルが20人、遼寧が13人、上海が3人、四川が3人。症状の出ていない陽性者が出ている地域はこれら4地域のほか、吉林、北京、浙江、福建に限られる。
感染者がいなければ、経済活動を妨げる規制は必要ない。ゼロコロナ政策で疲弊した経済を立て直すために、当局は強力な景気対策を打ち出し始めた。これが投資家心理回復の最大の要因ではないだろうか。
特に、波及効果の大きな自動車、不動産業などに対して強力な需要拡大政策が打ち出されている。
5月23日に開かれた国務院常務委員会では、総合経済対策措置が発表されたが、自動車関連では自動車の購入制限措置が解除され、乗用車に関する総額600億元相当の購入税が段階的に免除されることになった。この方針を受けて財政部、税務総局は5月31日、排気量2リットル以下、価格が30万元以下の車両について、6月1日から12月31日までの期間、購入税を半額免除すると発表している。
中国の行政システムは日本と違い柔軟だ。地方政府は中央政府よりも早く独自の政策を打ち出している。たとえば、ゼロコロナ政策の影響が大きかった陝西省では5月18日、「さらに一歩進んで消費活力を促進させ消費を伸ばすための3年行動計画」を発表、新車購入あるいは、買い替え需要を喚起するための政策を打ち出している。また、3月から4月にかけて厳しい都市封鎖が行われた長春市では、5月21日、自動車消費を拡大させるための補助金政策を発動、9月21日までの4か月間で総額5000万元の予算を確保した。