女性の平均寿命は87.74才、男性の平均寿命は81.64才。夫に先立たれる妻は少なくないだろう。夫を失った妻にとって、生活の頼みの綱になるのが遺族年金だ。夫が会社員や公務員だった場合、妻が受け取ることができるのは「遺族厚生年金」、自営業の場合は「遺族基礎年金」を受け取れる。
遺族基礎年金は満額で77万7800円
では、実際にどれくらいの遺族年金を受給できるのだろうか。具体的な金額を割り出していこう。まずは、夫の年金受給額を把握するところから。夫が厚生年金に加入していなかったなら、国民年金の遺族基礎年金が受け取れる。ただし、これには条件がある。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さんが言う。
「遺族基礎年金の受給資格があるのは、子供がいる配偶者か子供です。ここでいう子供とは、18才未満の子を指し、受給できるのはその子が18才になった年度の3月31日まで。もしくは、20才未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子供がいる場合も受給権が発生します」(北村さん・以下同)
遺族基礎年金の金額は満額で77万7800円で、そこに子供の人数に応じて加算がある。子供2人目までは各22万3800円、3人目以降は各7万4600円となるので、子のある配偶者に支給される遺族基礎年金は、少なくとも100万円になる計算だ。
ちなみに、夫が老齢厚生年金に加入しておらず、18才未満の子供もいない妻は「寡婦年金」または「死亡一時金」が受け取れる(後述)。
遺族厚生年金は「夫の厚生年金の75%」が目安
夫が老齢厚生年金加入者なら、勤続年数などによって額は変わる。夫宛てに届く「ねんきん定期便」を見れば一目瞭然だが、わからない場合は北村さんが作成した「北村式年金額計算法」を活用しよう。
「老齢厚生年金の受給額の目安は【5500円×勤続年数×現役時代の平均年収の100万円の位】で求められます。その金額に0.75(4分の3)をかければ、自分が受け取れる遺族厚生年金の額になります。例えば、夫が35年勤続で平均年収が800万円なら、【5500円×35年×8】で154万円。その4分の3(75%)の115万5000円が、この場合の遺族厚生年金の金額です」