「人生100年時代」とはいえ、ふたりそろって100才まで添い遂げられる夫婦は少ない。厚労省の最新データによると、女性の平均寿命は87.74才。一方、男性の平均寿命は81.64才と、実に6.1才もの差がある。
夫の身にもしものことがあった場合、妻の老後において頼みの綱になるのは夫の年金。だが、うっかり受け取り損ねたり、計算を間違えたりする人は意外と多い。そうなると、最悪の場合、生活に困窮する恐れもある。夫が亡くなった後、妻が受け取れる年金がどれくらいなのか、いまのうちに把握して、備えておいた方がいいだろう。
「自営業で子供あり」なら約100万円受け取れる
先に確認しておくべきなのは、どんな遺族年金を受け取れるのかということ。まず、夫が会社員または公務員で厚生年金に加入している場合、遺族に支払われるのが「遺族厚生年金」。支給額は、厚生年金に加入している夫が受け取れたはずの老齢厚生年金の75%(4分の3)となる。
社会保険労務士の井戸美枝さんが説明する。
「夫の老齢厚生年金額に0.75(75%)をかけると、実際に妻が受け取れる遺族厚生年金の金額がわかります。仮に夫が生前に年金の受給開始時期の繰り上げや繰り下げをしていても、遺族年金の受給額には影響しません。あくまでも、繰り上げ、繰り下げ前の金額の75%で考えて」
一方、国民年金の「遺族基礎年金」は、第1号被保険者(自営業の人など)の配偶者や子供が受け取れる。ただし、これには条件がある。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さんが言う。
「遺族基礎年金の受給資格があるのは、子供がいる配偶者か子供です。ここでいう子供とは、18才未満の子を指し、受給できるのはその子が18才になった年度の3月31日まで。もしくは、20才未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子供がいる場合も受給権が発生します」