株式投資をする際は、いつ買うのが正解なのか。それを判断するためには、市場がどんなメカニズムで動いているのかを理解しておかなければならない。たとえばいま、米国の急激なインフレと利上げが、円安・株安、そして私たちの家計に値上げという形で大きな影響を与え始めている。経済評論家の佐藤治彦氏は「株価や債券、商品価格もそれが本来持っている価値から大きく逸脱して暴走して下がってしまうことがある」と指摘する。
「市場は時おり暴走します。そして、暴走する時は十中八九が下げ。なぜなら、リスクのある株式、債券などで運用している人が売りに出て、これ以上は減らさない、損しないようにと現金化しておこうとするからです。どのあたりで落ち着くのかが読めなくて、そのわからない怖さからとにかく今は市場から退避しようとさせるわけです。
その時には、株価が割高か割安かを見極める指標である、PER(株価収益率)もPBR(株価純資産倍率)も意味をなしません。チャート分析なども通用しません。すべてを壊して暴走して下がっていく。そのような下落はこの50年間では5年から10年に一度くらい起こってきました」(佐藤氏・以下同)
しかし、「そんな時こそ自分が持っている金融資産を、安全な貯蓄から日経平均などのインデックスファンドへ移して投資を始めるべき時ではないか」と佐藤氏は考える。
「売りが売りを呼び日経平均もTOPIXも驚くほど下がっていくと、どこまで下がるのかが不安で、多くの人が売りに出し、それで下がるので、さらなる売りを呼びまたまた下がっていく。負のスパイラルが起きます。こうして市場参加者のほぼ全員が売りに売るわけです。そして、売る人がほとんどいなくなると、価格は落ち着きます。そういうタイミングで世界的な投資家はこっそり買いを入れるものです。そういう時に買える人たちが、勝てる投資家なのでしょう。
暴走して下がり過ぎた価格は、時間が経てば本来の実力通りの水準に戻っていきます。ですから、将来ほぼ確実に大儲けして売れるだろうと思えるくらいに安い時に買う。そしてそれより高く売る。これがセットで確実に行える時が、投資を始める最適なタイミングなのです」