不動産屋に行かなくても、ネットで物件情報を手軽に入手できる時代。引っ越しをする予定はまったくないのに、間取りや内装などといった物件情報を見るのが大好きだという人たちがいる。個性的な部屋の間取りを紹介する本がベストセラーになったり、YouTubeでも内見動画を集めたチャンネルなどが人気化しているが、彼ら/彼女たちは、いつから、どのような経緯で物件情報にハマっていったのか、そしてどんな魅力を感じているのか──。“お金のかからない趣味”として密かに人気を集めている、「ネットで物件情報めぐり」の楽しみ方を探った。
間取りや動画で“妄想生活”を楽しむ
「小さい頃から物件のチラシを眺めるのが好きだった」というのは、メーカーに勤務する30代女性・Aさんだ。妄想にふけっていた当時を振り返る。
「郵便受けや新聞に入っているチラシを見て、『ここは私の部屋、お母さんとお父さんはこの部屋で、お兄ちゃんはここ』みたいに妄想していました。それだけでは飽き足らず、ノートに間取りを写し、家具を書き込んで理想の家を完成させたりしていました」(Aさん)
大人になった今も、物件チェックをする習慣は抜けていないどころか、妄想に拍車がかかっているという。
「新築高級マンションのチラシで気になったものがあったら、公式サイトや不動産情報サイトをチェック。凝った外観や内装に匠の技を感じたり、実生活には何の参考にもならないような高級インテリアに見とれています。最近は、高級タワーマンションの間取りやルームツアー動画を見るのがマイブームです。好きなアニメキャラとの“同居生活”を妄想して楽しんでいます」(Aさん)