投資情報会社・フィスコが8月8日~8月12日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。米下院議長の訪台をめぐる米中関係の悪化を受け、目先的には地政学リスクを意識した円買いに振れやすい。ただ、米インフレ高進が改めて示された場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げを期待したドル買いが見込まれる。ペロシ米下院議長はアジア歴訪中、台湾を訪問し、米台関係の強化を強調。中国側は内政干渉と主張し、今後米国に対する報復措置を講じる考えのようだ。日本にも何らかの影響が及ぶ可能性が高いことから、東アジアにおける地政学リスクの増大を意識したドル売り・円買いが強まる場面が想定される。
一方、直近の連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、9月以降は引き締めペースを緩めるとの思惑が広がったが、FRB当局者からタカ派的な見解が相次いでいる。ハト派とみられるミネアポリス連銀総裁は来年の利下げの可能性について、否定的な考えを述べている。
8月10日発表の7月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想されており、上昇率は6月実績を上回る見通し。市場予想と一致した場合、インフレ鈍化の思惑は後退し、次回9月開催のFOMCでの大幅利上げを見込んだドル買いが入りやすい。また、CB消費者信頼感指数の先行指標とみられる8月ミシガン大学消費者信頼感指数は、多少の改善が見込まれ、景気後退(リセッション)懸念のドル売りを弱める要因となろう。
【米・7月CPI】(10日発表予定)
10日発表の7月米CPIは前年比+6.1%と予想される。市場予想と一致した場合、FOMCのタカ派方針を後押しする要因となろう。
【米・8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(12日発表予定)
12日発表の8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は52.0と、7月実績をやや上回る内容が予想されている。市場予想を上回った場合、米国の景気後退入りの懸念は和らぎ、金利高・ドル高の要因となりそうだ。