投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月8日~8月12日の動きを振り返りつつ、8月15日~8月19日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で371.11円高(+1.32%)と続伸。4週連続の陽線で、終値は52週移動平均線を大きく上放れた。
週初8日の日経平均は73.37円高。米7月雇用統計が予想を大きく上回る強い内容となったことで米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め強化への警戒感が強まる一方、景気後退懸念が後退し、強弱材料が混在するなか底堅い推移となった。その後、9日は249.28円安、10日は180.63円安と上昇一服。米半導体大手エヌビディアが業績見通しを引き下げたほか、同業のマイクロン・テクノロジーも1カ月前に示した業績予想レンジを下回る可能性を示唆したことで指数寄与度の大きい半導体関連株が連日で大幅下落。また、低調な決算を発表した東エレク<8035>やソフトバンクG<9984>の急落も指数を押し下げた。
一方、国内の祝日明け週末12日は一転して727.65円高と急反発し、6月9日高値28389.75円をも大きく上回った。米国7月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が共に予想以上に大きく減速したことでインフレピークアウト期待が高まった。売り方の買い戻しが入るなか、週前半に下落が目立っていた半導体関連株なども大きく上昇し、日経平均は28500円をも一気に上抜けた。なお、8月オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出値は28525.62円だった。
今週の東京株式市場はもみ合いか。日経平均株価の予想レンジは28000~28750円。売り手不在のなか、週末の米国版SQ(特別清算指数)を通過するまでは、底堅い地合いが続きそうだ。
今週は米中の小売売上高や鉱工業生産など注目度の高い指標が多い。中国では行動制限の長期化で景況感の回復が想定以上に遅い状況が続いており、指標結果が冴えないものになる可能性がある。米国でも、所得の伸びがインフレに追い付かないことで実質所得の減少が続いており、けん引役となってきた個人消費の失速で小売売上高が予想を下回る可能性があろう。4-6月期の決算発表が一巡したばかりだが、景況感の悪化は7-9月期決算への警戒材料となり、需給主導の上げ相場が終わり次第、次第に相場の重石となりそうだ。
また、米国ではウォルマートやターゲットなどの決算が予定されている。既に業績予想を下方修正しており、期待値は低いが、在庫の処分ペースなどが注目され、景況感の悪化を一段と強める恐れもあるため注意したい。
ほか、17日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目される。米7月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)は共に予想を下回り、市場ではインフレピークアウト期待が高まっている。しかし、指標の減速要因の大半はエネルギー価格であり、食品価格などはむしろ上昇ペースが加速。住居費などの下方硬直性のある分野のインフレもほとんど減速していない。