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東証再編でグロース市場から機関投資家が消えた IPO市場も厳しい状況が続く

東証再編は新興市場にどんな影響を及ぼしているのか?(イメージ)

東証再編は新興市場にどんな影響を及ぼしているのか?(イメージ)

 2022年4月の東京証券取引所の市場再編により、大企業からなる「プライム市場」、中堅企業からなる「スタンダード市場」、新興企業からなる「グロース市場」が創設された。この再編を受けて、IPO(新規上場)市場にはどのような変化が起こっているのか。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が、東証再編の前と後の動向を踏まえて、現状を分析する。

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 現在のIPO市場は厳寒期が到来している。その傾向は、2021年からはっきり見て取れた。2021年のIPO件数は125件で着地。その全125件で、上場後についた初値が公開価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」という基準による「勝率」を見ると、103勝20敗2分けで82.40%となった。この数字は、過去10年と比較してもそれほど悪いものではない。

 だが一方、初値が公開価格に対して何%上昇したかという「初値騰落率」を見ると、全125件の平均は57%となった。過去の平均初値騰落率を振り返ると、2017年は112%、2018年は106%、2019年は81%、2020年は131%。それに比べると、大きく低下している。

 2022年に入ると、IPO市場は一段と厳しさを増した。2022年6月8日までのIPO件数は26件あったが、その勝率は20勝6敗で76.92%、平均初値騰落率は58%となった。2021年と比較しても、負ける確率が増え、公開価格に対する初値の値上がり率も2021年同様に低水準が続いていることがはっきり確認できる。そして、IPO市場は、当面厳しい状況が続くことが予想される。

 IPO市場が厳しい環境下に置かれている背景には、2022年4月にスタートした東証の市場再編が一因にある。それまでは、IPO投資で勝つための手法として、東証マザーズから東証1部に市場変更(鞍替え上場)するタイミングを狙う戦略に妙味があった。

 新興市場から東証1部への市場変更の際には、インデックスファンドを始めとした機関投資家の買いが一挙に増えて株価上昇の可能性が高まるので、そうした銘柄を先回りして仕込んで大きなリターンを狙う戦略だ。

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